だいぶ前の話

 僕は昔うそつきだった。
 自分の失敗を隠すためにウソで固めるのが得意だった。まあ、最終的にはウソが大きくなりすぎてバレるんだけど。
 自己顕示のための話の誇大化とかはやらなかった。失敗したときにウソをつくのは、どうでもいいことにとらわれていたくなかったから。
 一つのことにのめりこむと周りが見えなくなることがあった。本を読み始めると周りの声が全くきこえなかった。一度それで自分でも驚いたことがあった。
 周りの人間はどうでもいいと思っていたんだろう。しかし、取り繕うという形のみであっても結構重度の虚言癖だったと思う。親や先生にウソを指摘され自分が情けなくて泣いたことも何度もあった。
 ある時から、ウソをつくのはやめようと決めた。自分の行動には責任があり、罪には償いがある。それを知り、自分を変えようと思った。誠実なことは善い事だと思った。
 罪と償いに悩む。償いとは、罪の代償であって、決して罪を打ち消すものではない。罪は永遠に消えない。何を罪とするのか。どう償うのか。
 謝罪が欲しかったし、許しが欲しかった。償いとは結局生きるための卑怯な手でしかないのかも知れない。

 ウソについてもっとかこうと思ったけどなんだか疲れたので止めた。