パソコン、インターネット

パソコンを買ったのは高校1年のときだった。最初は、iMacを買おうかと思っていた。パソコンのことは全然わからなくて、WindowsMacの違いもあまりよくわかってなかった。インターネットというものもよくわかってなくて、パソコンが世界につながるというのが理解できてなかった。
高校のクラスメイトに、そいつの中学時代の友達がパソコンに詳しいということで会わせてもらい、パソコンについて教えてもらった。WindowsMacは全然違うということ、インターネットのこと、など。その時にパソコンでファミコンをやっているのを見せてもらった。パソコンはこんなことも出来るのかと驚いた。話を聞くと現在500〜1000ほどのファミコンのROMを手に入れたらしい。その量に驚いた。
パソコンを買ってきて、プロバイダと契約しインターネットに接続した。
当時は電話線とモデムを接続するダイヤルアップ接続だった。電話とインターネットが同時につかえなくなるので、ISDNを引き、64kbpsという速さで接続できた。
当時はNTTの定額制はなかったのでつなげばつないだ分だけ通話料がかかった。なので、深夜11時から翌朝6時までつなぎ放題になるテレホーダイというサービスに契約した。これのおかげでインターネットに接続する時間はイコールテレホーダイの時間ということになった。
ファミコンメガドライブスーパーファミコンのROMを探し、ダウンロードして遊ぶ。そんな毎日だった。チャットとか掲示板とかはほとんど利用したことはない。ICQで前述の友達の友達と毎日話した。
ゲームのROMは、海外のサイトや、海外のサーバに日本人が設置したサイトなどにあった。それらのサイトはアンダーグラウンドとよばれた。アングラ。
アングラサイトとはROMサイトだけでなくアプリケーションのシリアルの配布やアプリケーションのクラックの方法、ハッキングのやり方、そういうあやしい違法行為を扱うサイトのことだ。
違法行為を扱うので、サーバの運営側に見つかればデリられる。そこでサーバのアカウントを大量に取得するツールなどもあった。離樹無だっけかな。
アップロードされるファイルも違法なものなので、圧縮、分割、偽装、パスワードなど様々な手を使ってばれないようにしていた。
昔のゲームあつめに飽きてくると、今度はパソコンのゲームを落とし始めた。
パソコンのゲームは容量が大きいので分割されてアップロードされている。2個とか4個とか、そんなもんではなくて、50Mのファイルを500Kに刻んで100分割とかが普通だった。もちろんそれを手で一つ一つ落とすわけではなく、iriaというツールにアドレスのリストをインポートして落とさせる。リストにはCRCが書き込まれていて、もしファイルのダウンロードミスがあると落としなおしてくれる。毎晩iriaを起動したまま就寝し、朝になると経過した時間だけiriaが頑張ってくれてファイルが落とされている。6時に一旦接続を切り、11時にまた接続してダウンロードする。そのうちサーバ側のファイルが削除されてしまうが、そのファイルの番号を報告すればまたアップロードしてもらえる。その繰り返しでISDN64Kbpsという低速でも何メガもあるアプリケーションを落とすことが出来た。
アプリケーションのことを割れずという。これは、warezをローマ字読みしたもので、softwaresのことである。当時は多くの割れずサイトがあった。
高校3年の時に、napstarというソフトが現れた。現在のインターネット、これからのインターネットを語る上で書かせない技術、P2Pの先駆けだ。
P2Pという概念を最初に思いついた人はその概念がインターネットを揺るがしかねないということでAOLにより何億という巨費でその技術を買い取られたが、(これは当時の重大ニュースだった)結局は現在WINMXWINNYなどが蔓延する事態になってしまった。
napstarは音楽ファイルであるmp3の交換のみのソフトだったが、これを使ってアプリケーションなど大きなファイルを交換することも出来た。そのうちにレジューム機能を備えたbearshareなどのソフトが現れた。
同時期にDIVXというMPEG4よりも圧縮率の高い圧縮技術が現れ、映画などの大容量コンテンツの交換も流行り出した。DIVXにより圧縮された映画はCDRに焼き込むことが出来るほどの容量になっていた。(現在では標準的な規格として認知されているDIVXだが、当時はMPEG4のコードを流用した少々アングラな規格だった。)学校でも映画を落としているやつがいた。
そのころからアングラ自体に飽きが来ていた。
多分、閉じた世界が気に入っていたんだと思う。
ICQには3人登録されていた。最初の方に書いた友達の友達、それと中学時代の友達だ。ネット上で3人でつるんでいた。実際に3人で会ったことはほとんどない。(1度か2度か。)
僕はどちらともよく会っていた。ICQでは複数人で会話をすることは出来なかったので、その2人が互いにどのような会話をしていたかはわからない。現在ではあまり連絡すら取らなくなった。中学時代の友達の方は会えたら会うというような感じではあるけど。
高校生活は本当につまらなかった。友達と呼べるような人間は、いなかったと言い切ってもいいだろう。
次項へ続く。