adobe とか XML

DTP 業界を横目で眺めながらコーディングするニートウェブデザイナーの考えたこと、DTP 業界に身を置く友人たちに伝えておきたいこと。
DTP 業界で不動の地位を手にしている Adobe が、なぜ Macromedia を買収しなければならなかったのか。


僕の勝手な予想だが、それはたぶんXMLのためなのだろう。
XML とは何か。Extensible Markup Language、拡張可能なマーク付け言語。SGML」のサブセットとして考案され、任意のデータを HTMLと同様の感覚で送受信できることを目標に作成されたもの
拡張可能とは、いったいどういうことなのか。XML と同じく SGML から派生した言語に、HTML がある。ウェブサイトを作ったことがある人なら誰でも知っている。
とか、とかいうやつだ。
XML も同様に、< と > で囲まれた「タグ」を使用して記述する。
ただし、XML の場合、タグとその意味合いを自由に定義づけられる。これが「拡張可能」という名前の意味だ。
でも、なぜ XML がそんなに重要なのか。Adobe が34億ドルもかけて Macromedia を買収した意味は?
実は、XML はすでにインターネットの至る所で使用されている。
最近流行の blog は、更新されるたびに RSS と呼ばれる XML で記述されたサイトの要約を吐き出している。この技術は blog だけでなく様々なウェブサイトで使用され始めている。RSS リーダーと呼ばれるアプリケーションを使って blog をチェックしている人も多い。amazon.com は、その膨大な商品データベースを、REST や SOAP と呼ばれる通信手段を使用し無償提供している。これの基礎になっているのも XML だ。さきほどの HTML も、XHTML と名前を変え、XML 準拠の仕様に置き換えられつつある。さらに、SVG と呼ばれるベクター記述言語や、MathML と呼ばれる数式記述言語などもある。そして、Web2.0 を象徴する Ajax は、Javascript による XML を介した http 非同期通信のことだ。
つまり、XML とは、情報、通信、データベース、ウェブサイト、画像、数学、Web2.0、その他すべてだ。テンプレートとデータベースによる自動生成、シームレスなオンライン入稿、印刷からウェブサイトへのコンバート、Adobe はこれだけの行程をひとまとめにパッケージングし販売し始めるだろう。
工数が減ってラッキー、なんていっている場合ではない。クライアントがパッケージ購入費とオペレータの人件費と印刷費、それと代理店への広告出稿料を比較しはじめたら…。印刷会社がそのまま広告代理業を始める可能性もある。テンプレートを公開するだけでそれに合わせたデータが自動的に集まってくるのだから。コーディングしかできないウェブデザイナーにも生きる道は無い。そんなものはパーサがすべてやってくれる。生き延びられるのは独創的なテンプレートを作り出せるデザイナーと企画屋だけか。
AdobeDTP と Web 業界をまとめてひっくり返してしまうかもしれない。
ここまで読ませておいてあれだけど、これはひとつの可能性の話。SF みたいなもの。なにしろ XML パーサは重い。